リストランティーノ・・・レストランでもなくトラットリアでもない私たちの場所へ
私たちがイタリアで働いていた場所は「リストランテ」です。イタリアでリストランテというと、なんとなくかしこまった感じの高級感あふれるような、一人でふらりと入れないような、そんな雰囲気がするようです。でも本当は厳密に決まりがあるわけではないのです。同じ店でリストランテ、ピッツェリア(ピザを出すところ)、トラットリア(食堂のような気軽なところ)と看板に掲げてあるところもあるんです。しいていえば、リストランテではピッツァは出さないということくらいでしょうか。日本に帰ってどんなお店をやりたいか。サスライシェフのクリエイティブな部分を思う存分発揮してもらうとしたらリストランテ。でも一人でもたまにはふらりと入ってこられる場所がいいな、と思いリストランテという言葉の後ろに「ino(イーノ)」という単語をつけてみました。
これはイタリア語でちっちゃいとか、かわいらしいという意味にしてしまう魔法の言葉。言葉の後ろにこれをつけるとそれだけでちっちゃな○○、といった言葉に早変わりするんです。
そしてチプレッソとは糸杉のこと。私たちが長年住んだトスカーナのシンボルとでもいえる木です。細長い糸巻きのような杉が丘の上に並ぶ風景。サスライシェフが9年住んだ場所もこの糸杉が有名で世界遺産にも指定されているオルチャ渓谷(Val d’Orcia)と程近い場所でした。素晴らしい自然とそれに負けない歴史や文化、そして豊かな食。鹿児島とイタリアをつなげる意味も込めてこの名前をつけました。ちょっと長すぎたイタリア暮らしを終えた私たちができること。それはイタリアの素敵なところだけじゃなく、ダメなところも全てお話しできること。イタリア人のイタリアを、自分の町を、自分の家族を愛するところ、それをおおっぴろげに自慢するところ、そういうところを見習ってもっともっと自分の町を、家族を愛して自慢しちゃえるほんとうの意味での「アモーレ」を伝えられたらと思います。
食べるということはその文化のバックボーンと深く深く深くつながっていますから。。。